こんにちは、あいです。
おととい、8月2日の日曜日。五十鈴川に「エンヤ」の掛け声とほら貝の音が響く夏が、ひとつの区切りを迎えました。第63回神宮式年遷宮に向けた第一次お木曳行事の締めくくり、川曳 (かわびき) の最終日です。
5月に陸曳 (おかびき) が始まってから、この街はずっとどこかお祭りの気配をまとっていました。それが終わってしまった今週の伊勢は、ちょっと静かすぎるくらい。この夏の記録を、忘れないうちに書いておきます。
※この記事は 2026年8月4日時点の報道・公式発表をもとに書いています。

川曳ってなに? ── 五十鈴川をさかのぼる、お木曳のもうひとつの形
お木曳行事は、式年遷宮で新しい社殿に使われる御用材 (ごようざい) を、市民が自らの手で外宮・内宮へ曳き入れる行事です。伊勢御遷宮委員会の公式サイトによると、550年余り受け継がれてきた伊勢の民俗行事で、20年に一度の遷宮のたびに行われてきました。
お木曳には、大きく分けて 2 つの形があります。
- 陸曳 (おかびき): 奉曳車 (ほうえいしゃ) に御用材を載せ、綱を曳いて市街地の道を進み、外宮へ曳き入れる
- 川曳 (かわびき): 御用材をそりに載せ、五十鈴川の流れの中を歩いてさかのぼり、内宮へ曳き入れる
今年の第一次お木曳行事は、陸曳が 5月9日から6月13日までの週末に、川曳が 7月25日から8月2日までの週末計4日間に行われました。中日新聞によると、陸曳には市内の町ごとにつくる 72 の奉曳団が参加したと報じられています。
陸曳のときに街を歩いた記録は お木曳の道を歩く に書いたので、今日は川曳の話を中心に。
四日間の川曳 ── 真夏の五十鈴川で
川曳の初日は 7月25日でした。伊勢新聞や名古屋テレビの報道によると、この日は二見地区の 7 つの奉曳団、あわせて約 3,600 人が参加。御用材のヒノキをそりに載せ、「エンヤ」の掛け声に合わせて綱を曳きながら、約 1 キロ先の内宮・宇治橋を目指したそうです。
川曳のいちばんの見どころは、練り (ねり) だと思います。そりにつないだ綱を川面に打ちつけて、水しぶきを上げる。木遣り唄とほら貝の音が響くなか、法被姿の子どもから大人までが清流の中を進んでいく様子は、伊勢新聞の最終日の記事でも「暑さに負けず、水しぶき上げ」と伝えられていました。
そして 8月2日の最終日。この日は天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが川曳をご覧になり、内宮の参道では白い法被をまとって、地元の人たちと一緒に木ぞりの綱を曳かれたと、読売新聞や産経新聞などが報じています。その日の詳しい記録は 愛子さまの三重ご訪問の記事 に書きました。
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出典: Daderot, Wikimedia Commons / CC0
おじいちゃんと川岸で見た「練り」
わたしは川曳の日、おじいちゃんと一緒に川岸から見ていました。
おじいちゃんは前回、20年前のお木曳も見ているので、川に近づく前から「ほら貝が聞こえてきたら始まりだ」と教えてくれました。ほんとうにその通りで、まず音が来て、それから水しぶきが見えてくるんです。
正直に言うと、この日はものすごく暑くて、見ているだけのわたしのほうが先にバテそうでした。

でも川の中の人たちは、暑さを楽しんでいるみたいに見えました。綱が川面を打つたびに、しぶきがきらきら光って、歓声が上がって。「川曳は水と一緒にやるお木曳だからな」とおじいちゃんが言っていて、なるほど、真夏にやる意味があるんだなあと思いました。
いちばん印象に残ったのは、御用材が宇治橋のほうへ近づいていくときの、川岸の拍手です。誰かが指示したわけでもないのに、自然に手を叩く人が増えていって。あの木がいつか新しい社殿の一部になるんだと思うと、拍手の意味がちょっと分かる気がしました。
祭りのあとの五十鈴川 ── 次は来年、そして 2033 年へ
行事が終わった今週、五十鈴川はいつもの静かな流れに戻っています。あの賑やかさがなくなると寂しいけれど、曳き入れられた御用材はこれから加工されて、少しずつ社殿の形に近づいていきます。
神宮公式サイトの遷宮予定年表によると、お木曳行事は令和9年 (2027年) にも第二次が予定されています。20年に一度の行事を、2年続けて見られるということ。来年もまた、川岸かどこかの曳き綱のそばで、この街の夏を記録したいと思います。
式年遷宮の全体の流れは 第63回式年遷宮まとめ にまとめてあるので、よかったらそちらもどうぞ。
参考
- 伊勢新聞「『川曳』始まる ご用材を内宮へ 初日3600人参加 神宮式年遷宮」2026年7月27日
- 伊勢新聞「暑さに負けず、水しぶき上げ『川曳』 伊勢『第一次お木曳行事』が終了 三重」2026年8月3日
- 名古屋テレビ「7年後の遷宮に向けて伊勢神宮で御木曳始まる 内宮前の五十鈴川では市民らが御用材を運ぶ川曳」2026年7月
- 中日新聞「伊勢神宮の式年遷宮に向け『お木曳行事』始まる 72の奉曳団が用材を引き入れ」2026年5月
- 読売新聞「愛子さま、伊勢神宮訪れ『お木曳』視察」2026年8月2日
- 産経新聞「愛子さま、お木曳行事をご視察 法被をまとい綱を引っ張られ 伊勢神宮ご参拝」2026年8月
- 伊勢神宮 公式サイト「御木曳行事|遷宮ニュース」「遷宮予定年表」(2026年8月4日閲覧)
- 伊勢御遷宮委員会 公式サイト「伊勢の民俗行事『お木曳行事』」(2026年8月4日閲覧)