こんにちは、あいです。
伊勢神宮には、内宮・外宮の正宮のほかに「別宮(べつぐう)」と呼ばれるお宮がいくつもあります。神宮司庁公式サイト(isejingu.or.jp)の案内によると、別宮は皇大神宮(内宮)に10所、豊受大神宮(外宮)に4所、あわせて14所。場所も大紀町や志摩市まで広がっていて、すべて歩こうとすると意外と一日では難しい広がり方をしています。
おじいちゃんに「別宮、全部回ったことある?」と聞かれたとき、あたしは「内宮と外宮の中にあるのと、月読宮と瀧原宮は…」と言いかけて、すぐに数が合わなくなりました。

それで、「だったら一年かけて、季節ごとに分けて回る計画を立ててみよう」という話になって。今日は、別宮14所を1年で巡るための計画の立て方を、在住者目線でまとめてみました。
別宮14所はどこにあるのか
神宮司庁公式サイトの案内をもとに、14所の所在地と距離感を整理してみます。地名は公式の表記に合わせています。
皇大神宮(内宮)の別宮 ― 10所
- 荒祭宮(あらまつりのみや) ― 内宮神域内
- 風日祈宮(かざひのみのみや) ― 内宮神域内
- 月讀宮(つきよみのみや) ― 伊勢市中村町
- 月讀荒御魂宮(つきよみあらみたまのみや) ― 月讀宮境内
- 伊佐奈岐宮(いざなぎのみや) ― 月讀宮境内
- 伊佐奈弥宮(いざなみのみや) ― 月讀宮境内
- 倭姫宮(やまとひめのみや) ― 伊勢市楠部町(倉田山)
- 瀧原宮(たきはらのみや) ― 度会郡大紀町
- 瀧原並宮(たきはらならびのみや) ― 瀧原宮境内
- 伊雑宮(いざわのみや) ― 志摩市磯部町
豊受大神宮(外宮)の別宮 ― 4所
- 多賀宮(たかのみや) ― 外宮神域内
- 土宮(つちのみや) ― 外宮神域内
- 風宮(かぜのみや) ― 外宮神域内
- 月夜見宮(つきよみのみや) ― 伊勢市宮後
こうして並べると、内宮・外宮の神域内に集中している別宮(計6所)と、街なかに点在する別宮(月讀宮・月夜見宮・倭姫宮)、そして遠方の「遥宮(とおのみや)」(瀧原宮・伊雑宮)の三層構造になっているのが分かります。

まず「3つの圏」に分けて考える
14所をいきなり全部回ろうとすると行程が破綻するので、おじいちゃんは「3つの圏に分けて考えなさい」と教えてくれました。
圏A:神域内 ― 5所
- 内宮: 荒祭宮・風日祈宮(2所)
- 外宮: 多賀宮・土宮・風宮(3所)
外宮別宮のうち月夜見宮だけは外宮の神域外(宮後)にあるので、ここでは圏Bに入れています。神域内の5所は、内宮・外宮の正宮を参拝するついでに必ず回れる距離感です。
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出典: Yanajin33, Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0
圏B:伊勢市内 ― 4所(社殿としては5社)
- 月讀宮(中村町)とその境内の3社(月讀荒御魂宮・伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮)
- 月夜見宮(宮後)
- 倭姫宮(倉田山)
街なかにあって、いずれも内宮・外宮から徒歩・バス・自転車で30分以内。半日あれば3つの社域をまとめて歩けます。
圏C:遠方の遥宮 ― 2所(社殿としては3社)
- 瀧原宮(大紀町)とその境内の瀧原並宮
- 伊雑宮(志摩市磯部町)
伊勢市内から車でそれぞれ40〜60分。電車だとさらに時間がかかります。一日仕事になるので、それぞれ別日に組むのが現実的です。
季節別の組み合わせ案
おじいちゃんと相談して、季節の歩きやすさと祭儀の暦を考えながら、こんな組み方を考えてみました。あくまで一例なので、自分のペースに合わせて入れ替えてもらえると。
春(3〜5月):圏A・内宮側 + 圏B・月讀宮
桜と新緑の時期は、内宮の参道が一年でいちばん華やぐ季節。内宮を参拝して荒祭宮・風日祈宮を回り、別日に月讀宮で四宮を巡るのがおすすめ。月讀宮の境内は、新緑の光がとくにきれいです。
夏(6〜8月):圏B・倭姫宮+月夜見宮
夏は遠方への移動は避けて、街なかでまとめて回るのが楽。倭姫宮(倉田山)と月夜見宮(宮後)はバスで結べる距離なので、午前中に分散して参拝するくらいの行程が気持ちよく歩けます。日中は神宮徴古館や倉田山の木陰を挟むと、休みながら歩けます。
夏に遠方の遥宮へ行くのは、暑さと虫でちょっとつらいです。あたしは去年、虫除けを忘れて伊雑宮の参道で蚊にやられました…。

秋(9〜11月):圏A・外宮側 + 圏C・瀧原宮
秋は神嘗祭(10月17日)の前後で、神宮全体の空気が引き締まる季節。外宮を参拝して多賀宮・土宮・風宮を回ったあと、別日に瀧原宮(大紀町)まで足を延ばすと、別宮の奥行きが体感できます。瀧原宮の杉並木は、朝の光が斜めに差し込む10月下旬から11月の景色がとくに静かです。
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出典: MaedaAkihiko, Wikimedia Commons / CC0
冬(12〜2月):圏C・伊雑宮 + 残りの圏B
冬は人がぐっと減って、別宮がいちばん静かになる季節。志摩市磯部町の伊雑宮は近鉄志摩線「上之郷駅」から徒歩約5分。年明けの落ち着いた時期に行くと、参道の杉と冬の海の空気が混じった独特の感じがあります。
残った月夜見宮や、春に回りそびれた別宮を寒い時期に挟み込んでおくと、一年を通してちょうど14所を踏破できる計算になります。
「1日でまとめる」プランは可能か
「全部を1日で回れる?」と聞かれることがあるんだけど、結論からいうと、車で朝から夜まで動けば理屈の上では可能です。ただ、おじいちゃんに言わせると「それは観光であって、参拝じゃない」。
参考までに、強行軍で1日で回るとしたら:
- 6:00 出発 → 外宮(神域内3別宮)
- 8:00 月夜見宮
- 8:30 内宮(神域内2別宮)
- 11:00 倭姫宮
- 12:00 月讀宮(四宮)
- 14:00 伊雑宮(志摩)
- 16:30 瀧原宮(大紀町)
- 19:00 帰宅
これは「物理的に可能」というだけで、おすすめはしません。一つひとつの別宮で立ち止まる時間がほとんど取れないし、神嘗祭・月次祭などの神事と重なれば参拝そのものが落ち着きません。
「複数回に分ける」プランの組み立て方
訪問者の方なら、伊勢に来る回数を分けて以下のように組むのが現実的です。
- 1回目(1泊2日): 外宮 → 月夜見宮 → 内宮 → 月讀宮(四宮) → 倭姫宮
- 2回目(日帰り): 瀧原宮(大紀町)
- 3回目(日帰り): 伊雑宮(志摩市)
在住者なら、季節ごとに自転車・バス・電車を使い分けて、ふだんの散歩のなかに別宮を組み込むだけで、1年で自然に14所を踏める計算になります。あたしも、おじいちゃんに「無理に全部回ろうとしないで、季節を選んで歩きなさい」と何度も言われています。
参拝の作法は正宮と同じ
別宮の参拝も、基本の作法は「二拝二拍手一拝」。内宮・外宮の正宮と同じです。詳しい流れは内宮(皇大神宮)の参拝順序と作法にまとめているので、参考にどうぞ。
参拝の順序については、神宮司庁公式の案内では、原則として正宮を先に参拝してから別宮に進む、とされています。境内に複数の別宮が並ぶ月讀宮・瀧原宮では、入り口付近の立て札に順序が示されているので、現地でそれを確かめるのが安心です。
月讀宮の四宮を巡る感覚については月読宮を訪ねる季節と歩き方、瀧原宮の参道については瀧原宮への参道、地元の歩き方に詳しくまとめています。
おじいちゃんと、年間計画を立てた夜のこと
去年の年明けに、おじいちゃんの縁側で、紙の地図を広げて「今年は別宮14所、ちゃんと一年で全部回ってみよう」と言いだしたのはおじいちゃんでした。

地図にカラーペンで○を14個つけて、季節ごとにグループ分けして、移動手段を書き込んで…という作業を二人でしているうちに、机の上は赤と青と緑のインクだらけになりました。
「全部回るのが目的じゃないよ。回り終わったとき、自分が伊勢の地形をどれだけ立体的に分かるようになっているか、それを試すんだ」
おじいちゃんがそんなふうに言って、計画表のいちばん上に「2026年・別宮14所・あいと祖父」と書き込んでくれました。
結局、年内に回りきれなかったお宮もあって、今年に持ち越したものもあります。でも、計画を立てたこと自体が、別宮の存在を「街なかの一部」として日常に組み込む第一歩になったように思います。
まとめ ― 1年かけて、別宮を日常にする
別宮14所は、神域内・伊勢市内・遠方の遥宮、という三層構造を意識して計画を立てると、一年を通して無理なく巡れる距離感になります。季節の歩きやすさと祭儀の暦を組み合わせると、ただの「踏破」ではなく、伊勢の地形と季節を体で覚えていく旅程に変わります。
訪問者の方には、2〜3回に分けた現実的なプランを。在住者の方には、ふだんの散歩のなかに別宮を組み込む年間計画を、おすすめしたいです。
第63回神宮式年遷宮の8年間は、別宮の社殿もそれぞれの暦に従って整えられていきます。あたしも、毎年すこしずつ別宮の表情を記録しにいきます。