こんにちは、あいです。
先日、近所の掲示板に「〇〇町内会」の集まりの案内が貼ってあるのを見て、ふと気になったことがあります。式年遷宮のお白石持行事って、いつも「町」単位で語られるけど、それってなんでなんだろう、って。
お木曳行事のことは前に書いたことがあるんですけど、お白石持は遷宮の一番最後、遷御の直前に行われる行事です。次は令和15年(2033年)。まだ先の話だけど、この「町ごとに運ぶ」という仕組み自体は、今の静かな時期だからこそ整理しておく価値があると思いました。
この記事は 2026年9月21日時点で確認できた伊勢市公式サイト・伊勢御遷宮委員会公式サイト・文化庁文化遺産オンラインなどの情報をもとに書いています。

「奉献団」は町ごとに立つ ── 白石を運ぶ最小単位
お白石持行事は、伊勢神宮両宮の正殿の造り替えがほぼ完了したころ、御垣内に敷き詰める白石を神領民が奉納する行事です。実施は遷宮の年、つまり2033年の10月に予定されている遷御の直前です。
この行事を担うのは、伊勢市公式ホームページによると旧神領の民、実務を管理するのは伊勢市奉献連合会とされています。かつては内宮領・外宮領に分かれて別々に奉納していましたが、現在は両宮へまとめて奉納する形になっているそうです。
Wikipedia「お白石持」の記事では、もう少し細かい単位が説明されていました。奉献団は旧神領の各町・大字から原則1団体が参加し、団体名には地名そのものや、青年会の雅号、地域の歴史や名所にちなんだ名前がつけられるとのこと。第56回(1889年)は83団体、第57回(1909年)は77団体が参加した記録が残っているそうです。
つまり、お木曳の「奉曳団」と同じように、お白石持も神宮全体の行事である前に、町ごとの行事として積み上げられてきたということなんですね。今の「町内会」という言葉とぴったり重なるわけではありませんが、地域の単位で人を集め、代表を立て、役目を果たすという構造そのものは、今の町内会運営とかなり近いものに見えます。

白石はどこから来るのか ── 宮川で拾う、たった一つの基準
運ぶ白石そのものは、山から切り出す御用材と違って、川で拾うものだそうです。
Wikipedia の記事によると、奉仕者はまず奉献団単位で宮川へ行き、御白石を集めます。足りない場合は伊勢市より上流の度会町棚橋や、櫛田川流域の松阪市中万町まで集めに行く奉献団もあるとのこと。
石ならなんでもいいわけではなく、「白ければよいというわけではなく、子どもの握りこぶし大、光沢と透明感のある石英、適度に角ばっているもの」が良いとされているそうです。この基準、正直けっこう職人的だなと思いました。
(あたし、たぶん拾いに行っても白い石ばかり集めちゃう気がします……)

土枡・白布・お祓い ── 白石を神域まで運ぶ作法
集めた白石は、そのまま神域に運ばれるわけではありません。
Wikipedia の記事では、奉献団の代表が神職に「白石奉献目録」を提出し、土枡と呼ばれる木箱に御白石を移し替えると説明されています。そのあと奉仕者は一人ひとり、御白石を数個ずつ白布などに包んで持ち、お祓いを受けるという流れです。
運搬の手段は、伊勢市公式ホームページによると奉曳車(ほうえいしゃ)や木橇(きぞり)。内宮では川曳と陸曳の両方、外宮では陸曳のみが行われるとされています。お木曳と同じ道具立てが、お白石持でも使われているんですね。
この行事は、国の選択無形民俗文化財(昭和48年=1973年8月選択)、伊勢市の無形民俗文化財(昭和48年7月27日指定)にもなっています。文化庁文化遺産オンラインにも同じ選択年月が記録されていました。
「特別神領民」が広がっても、町の役目は変わらない
もうひとつ気になっていたのが、「特別神領民(一日神領民)」との関係です。
Wikipedia の記事によると、この制度は第60回(1973年=昭和48年)から始まり、それまで旧神領民の特権とされていたお白石持に、全国公募で選ばれた人が参加できるようになりました。前回・第62回(2013年)では、伊勢御遷宮委員会公式サイトによればのべ約22万人が参加したと記録されています。
ただ、ここで大事なのは、特別神領民の枠が広がったからといって、町ごとの奉献団という骨格そのものが変わったわけではないということです。全国から来た人たちも、当日はどこかの町の奉献団に加わって、その町の列の一員として白石を運びます。受け皿になっているのは、あくまで旧神領の各町なんですね。
おじいちゃんと考えた「うちの町」の役目
このことをおじいちゃんに話したら、「うちの町内会も、回覧板を回す係とか、お祭りの世話係とか、順番で回ってくるだろう。あれと似たようなものだよ」と言われました。
「大きな行事のときだけ急に組織が立つわけじゃない。ふだんの町内の付き合いの延長に、20年に一度の大きな役目が乗っかっているんだ」とも。
言われてみると、お白石持もお木曳も、遷宮という8年がかりの大きな流れの中の出来事である前に、**「うちの町の番だから」**という、もっと身近な理由で人が動いてきたのかもしれません。2033年、あたしの住む町内会にも、いつか声がかかる日が来るのかな。そのときは、ちゃんと参加できる大人になっていたいです。

まとめ
- お白石持行事は、両宮正殿の造り替えがほぼ終わったころ、遷御の直前に行われる
- 担い手は旧神領民、実務は伊勢市奉献連合会。奉献団は旧神領の各町・大字からおよそ1団体が参加する仕組み
- 白石は宮川などで拾い、子どもの握りこぶし大・石英質・角ばったものが良いとされる
- 国の選択無形民俗文化財(1973年8月選択)、伊勢市の無形民俗文化財(1973年7月27日指定)
- 1973年から「特別神領民」制度が始まり、全国から参加できるようになったが、受け皿は今も町ごとの奉献団
- 次回は令和15年(2033年)7月〜8月に予定(あくまで現時点の予定であり、確定ではありません)
お木曳行事の歩みについてはお木曳行事、500年の歩みに、2033年までの全体の流れは遷宮年表の読み方にまとめてあります。
静かな時期だからこそ、こういう「仕組み」の話を書いておきたいなと思いました。それじゃ、また次の記事で。
参考
- 伊勢市公式ホームページ「伊勢の『白石持ち』行事」/2026年9月21日閲覧
- 伊勢御遷宮委員会 公式サイト「伊勢の民俗行事『お白石持行事』」/2026年9月21日閲覧
- 伊勢神宮 公式サイト「遷宮予定年表|第63回神宮式年遷宮」/2026年9月21日閲覧
- 文化庁 文化遺産オンライン「伊勢の『白石持ち』行事」(選択無形民俗文化財・昭和48年8月選択)/2026年9月21日閲覧
- 「お白石持」(Wikipedia 項目)/奉献団の構成・白石の採取基準・作法・特別神領民制度の経緯について
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