伊勢のお木曳道を秋に歩く ── 宮川から外宮北御門へ、第一次陸曳のあとの道

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こんにちは、あいです。

6月に お木曳道を歩く季節 という記事を書いたとき、あたしはまだ「これから曳かれる道」を歩いていました。あれから第一次お木曳行事の陸曳(おかびき)も川曳(かわびき)も終わって、伊勢はもう10月の半ば。神嘗祭も過ぎて、朝晩は上着がほしくなってきました。

今日書くのは、その続きです。曳かれたあとの道を、秋にもう一度歩いてみたらどう見えるのか。 今回は2026年の陸曳で実際に使われたコース、宮川から外宮の北御門までを、行事のない平日の朝にたどってみました。

※この記事は 2026年10月19日時点 で確認できた公式発表をもとに書いています。日程などはあとから変わることがあるので、お出かけ前に必ず公式の案内をご確認ください。

あい:秋の装い

2026年の陸曳コースをおさらい

伊勢御遷宮委員会が出していた第一次お木曳行事(陸曳)の交通規制マップでは、奉曳コースは 宮川の河川敷を出発し、県道伊勢南島線(県道22号)を東へ進み、筋向橋(すじかいばし)を通って外宮北御門に着く 道すじとして示されていました。

一方、内宮側の川曳は、五十鈴川の浦田橋の下流から宇治橋までの川の中を進むもので、同じマップには「大規模な交通規制はありません」と書かれていました。

陸曳の規制の細かい中身は 交通規制マップを読み返した記事 にまとめたので、今日はその地図の上を、自分の足で歩いた記録です。

宮川の堤から歩きはじめる

朝8時すぎ、宮川の堤に立つと、河川敷はただ広くて、静かでした。5月と6月の週末、ここに奉曳車が並び、法被の人たちが集まっていたなんて、知らなければ想像もつかないと思います。

秋の宮川は水が澄んでいて、堤の草も夏よりずいぶん落ち着いた色になっていました。散歩の人と、自転車で通り過ぎる高校生と、あたし。それだけです。

あたしはここで、ちょっとした失敗をしました。出発地点をちゃんと確かめずに来たので、堤の上を「たぶんこっち」と反対方向に5分くらい歩いてしまったんです。

あい:てへ

規制マップを家に置いてきたのが敗因でした……。行事のない日のお木曳道には、もちろん目印も案内板もありません。歩いてみたい人は、地図を手元に持っていくのがおすすめです。

県道22号 ── ふつうの朝の、ふつうの道

河川敷から県道22号に出ると、そこは本当に、ふつうの生活道路です。通勤の車が行き交い、信号で止まり、お店がシャッターを開けはじめる。

でも、規制マップの赤い線を思い出しながら歩くと、見え方が少し変わります。「この交差点は、あの日の朝6時から閉まっていたんだ」「このあたりで、前の晩は片側交互通行になっていたんだ」。地図の上の線が、目の前の車道と重なっていく感じがしました。

秋の朝の県道は、夏の行事の日とは、音がまったく違います。木遣りも掛け声もなくて、聞こえるのはエンジン音と、ときどき鳴く鳥の声だけ。そのぶん、道の幅や、ゆるい曲がり方や、沿道の家並みの低さみたいなものが、よく目に入ってきます。巨きな御用材を載せた奉曳車が、この幅の道をどうやって進んでいったのか ── 行事の日には人の多さで見えなかったものが、空っぽの道だと見えるんです。

なお、沿道はほとんどが住宅とお店です。行事の日の写真を飾っている家があっても、それは個人のお宅のもの。立ち止まってじろじろ見たり、敷地に入ったりはしないように歩きました。

筋向橋を過ぎて、外宮北御門へ

筋向橋を過ぎると、まちの空気が少しずつ外宮のほうへ寄っていくのがわかります。参拝の人の姿が増えて、木々の緑が近づいてくる。

そして外宮の北御門。陸曳の御用材は、ここから神域へ曳き入れられていきました。

伊勢神宮・外宮の鳥居

出典: MaedaAkihiko, Wikimedia Commons / CC0

平日の朝の北御門は、表参道側より人が少なくて、とても静かでした。あたしはいつもどおり鳥居の前で一礼して、外宮から先にお参りしました。

宮川から北御門まで、あたしはのんびり寄り道しながら歩いて40分くらい。急げばもっと早いと思いますが、この道は急いで歩くとただの県道になってしまうので、ゆっくりがいいと思います。

あい:歩いている

おじいちゃんと話した「道の秋」

帰ってから、縁側でおじいちゃんに今日の話をしました。

「何もなかったよ。ほんとに、ふつうの道だった」とあたしが言うと、おじいちゃんは少し笑って、「それでええんや」と言いました。

おじいちゃんの話では、お木曳の道は、行事の日だけ特別になるわけじゃないそうです。「曳く日のために道があるんやない。毎日使う道を、その日だけ神さまの木に貸すんや」。

だから秋の何もない道を歩いておくのは、行事の日を見るのと同じくらい大事なんだ、と。そう言われて、反対方向に歩いた5分も、まあ無駄じゃなかったかな、と思うことにしました。

あい:うん

2026年10月19日時点の、遷宮の動き

最後に、この記事を書いている時点での、お木曳と遷宮のまわりの状況を記録しておきます。

  • 第二次お木曳行事の予定: 伊勢御遷宮委員会の公式サイトに、令和9年(2027年)の 陸曳が5月8日〜6月12日、川曳が7月24日〜8月1日 の予定として掲載されています。神宮公式サイトの遷宮予定年表でも、令和9年の欄に「御木曳行事(第二次)」が記されています。どちらも あくまで予定 で、委員会のサイトには社会情勢等により変更となる場合がある旨が添えられています
  • 第二次の特別神領民の募集: 2026年10月19日時点で、あたしはまとまった公式の募集案内を確認できていません
  • この秋の初穂曳: 伊勢御遷宮委員会と観光三重の案内では、神嘗祭にあわせた第55回初穂曳が、10月15日に外宮領の陸曳、16日に内宮領の川曳として予定されていました
  • これからの予定: 神宮公式サイトの祭典・催しカレンダーによると、10月28日には将来の遷宮用材となることを願って、宮域林にヒノキの苗を植える予定が掲載されています。植樹祭については 伊勢神宮の植樹祭の記事 に書きました

お木曳が終わった道は静かでも、遷宮そのものは、山でも、まちでも、ちゃんと次へ進んでいます。

まとめ

  • 2026年の陸曳コースは、宮川河川敷 → 県道22号 → 筋向橋 → 外宮北御門。行事のない日は、ふつうの生活道路です
  • 秋の平日の朝に歩くと、行事の日には人で見えなかった道幅や家並みが、よく見えます
  • 歩くときは地図を持参して、沿道の住まいに配慮して静かに
  • 第二次お木曳行事は令和9年(2027年)の5月〜8月に 予定 されています

来年の初夏、この道はまた法被と綱でいっぱいになるはずです。その前に一度、何もない秋の道を歩いておくと、第二次の日の見え方がきっと変わると思います。

それじゃ、また次の記事で。

参考

  • 伊勢御遷宮委員会「第六十三回神宮式年遷宮 令和8年(2026年)5月・6月 第一次お木曳行事(陸曳)『交通規制』マップ」(2026年10月19日閲覧)
  • 伊勢御遷宮委員会 公式サイト トップページ(第二次お木曳行事の日程・初穂曳に関するお知らせ)(2026年10月19日閲覧)
  • 伊勢神宮 公式サイト「遷宮予定年表|第63回神宮式年遷宮」(2026年10月19日閲覧)
  • 伊勢神宮 公式サイト「祭典・催しカレンダー 2026年10月」(2026年10月19日閲覧)
  • 観光三重「初穂曳」案内ページ(2026年10月19日閲覧)