月読宮から倭姫宮へ徒歩で ― 伊勢神宮の別宮二社を秋に歩いてめぐる

こんにちは、あいです。

9月も今日でおしまい。伊勢は朝晩の風がようやく乾いてきて、歩いてお参りするのが苦にならない季節になりました。神宮の祭典カレンダーを見ると、10月は15日から17日にかけて外宮・内宮で神嘗祭(かんなめさい)が執り行われる予定で、一年のうちでもいちばん大切なお祭りの月です。

月読宮(つきよみのみや)については、前に季節ごとの歩き方と四宮の参拝順を書きました。今回はその続きで、月読宮で終わりにしないで、倭姫宮(やまとひめのみや)まで歩いてつなげる歩き方の話です。

あい:秋の装いで

月読宮と倭姫宮は、どちらも内宮の別宮です。しかも近鉄五十鈴川駅をはさんで、歩いて行き来できる距離にあります。「なのに、片方だけ寄って帰る人が多いんだよなあ」と、おじいちゃんがよく言っています。

二つの別宮の位置関係

神宮司庁公式サイトの「域外の別宮」によると、二つのお宮の基本情報はこうなっています。

月読宮倭姫宮
所在地伊勢市中村町742-1伊勢市楠部町5
御祭神月読尊・月読尊荒御魂・伊弉諾尊・伊弉冉尊倭姫命
公式のアクセス案内近鉄五十鈴川駅より徒歩10分近鉄五十鈴川駅より徒歩7分

公式サイトには、倭姫宮は「内宮と外宮を結ぶ御幸道路の中ほど」にあると書かれています。月読宮も御幸道路に面した入口を持っているので、二つのお宮は同じ御幸道路沿いに、五十鈴川駅をはさんで並んでいると考えると分かりやすいです。

駅から片方へ10分、もう片方へ7分。単純に足せば、駅を経由しても20分ほどで二社がつながります。あたしの足だと、境内を出てから次の鳥居まではだいたい15〜20分でした。信号待ちや寄り道で変わるので、あくまで目安にしてください。

どちらから歩くか ― あたしは「月読宮が先」

順番に決まりはありません。そのうえで、あたしが月読宮を先にしている理由は二つあります。

ひとつめは、参拝にかかる時間の違い。 月読宮は四つのお宮が並んでいて、公式サイトでも①から④の順にお参りするのが一般的と案内されています。四回、ていねいに手を合わせることになるので、気持ちも時間も少し多めに使います。体力と集中力があるうちに月読宮、というのが自分には合っていました。

ふたつめは、倭姫宮まわりの落ち着き。 倭姫宮は倉田山(くらたやま)の緑の中にあって、参道がゆるやかに奥へ続いています。月読宮で四宮をお参りしたあと、最後にここを静かに歩いて一日を閉じると、気持ちの流れがきれいに収まる感じがするんです。

電車で来た場合は、どちらの順でも五十鈴川駅に戻れるので、帰りの便を気にしなくていいのも助かります。

倭姫宮で知っておきたいこと

あい:本を手に説明

神宮司庁公式サイトによると、倭姫宮の御祭神・倭姫命(やまとひめのみこと)は第11代垂仁天皇の皇女で、天照大御神に仕え、皇大神宮を創建された方としてお祀りされています。

そして、ちょっと意外なのがここ。倭姫宮のご鎮座祭が行われたのは大正12年(1923年)11月5日で、公式サイトでは「神宮で最も新しい別宮」と紹介されています。

あたし、これを知ったときはびっくりしました。内宮を創建した方のお宮なんだから、いちばん古いくらいのお宮だと思い込んでいたんです。おじいちゃんに話したら、「祀られている方の古さと、お宮ができた時期は別の話だよ」と言われて、なるほどと思いました。月読尊のように神話の時代の神さまをお祀りする月読宮と、内宮の成り立ちに関わった方をお祀りする倭姫宮。同じ日にこの二つを歩くと、神宮の歴史の層みたいなものが少しだけ見える気がします。

神嘗祭の頃に歩くときの注意

10月にこの道を歩くなら、知っておいてほしいことがあります。

神嘗祭は、その年の新穀を天照大御神にお供えする神宮でいちばん重要なお祭りで、神宮の祭典カレンダーでは2026年は外宮が10月15日夜から16日、内宮が16日夜から17日の予定になっています。正宮に続いて、別宮でも神嘗祭のお祭りが行われるとされています。ただ、月読宮と倭姫宮での個別の日時は、公式の祭典カレンダーで確認できなかったので、ここでは断定しません。

その期間に別宮を歩いていて、お祭りの準備や神職の方の姿を見かけることがあるかもしれません。そんなときは、

  • 通路をあけて、立ち止まって見送る
  • 写真を撮ってよいか迷ったら、撮らない
  • 境内の案内や係の方の指示を最優先にする

の三つだけ気をつけておけば、まず困ることはないと思います。神嘗祭そのものについては、神嘗祭の由来にまとめています。

もうひとつ現実的な話をすると、10月は日中まだ汗ばむ日があります。月読宮の境内は木陰が多いけれど、御幸道路沿いは日差しをさえぎるものが少ない区間もあります。お水を一本持っておくと安心です。

おじいちゃんと、二社をつないだ夕方

去年の10月、神嘗祭が終わって少し経った週末の夕方に、おじいちゃんと二人でこの道を歩きました。

あい:参道を歩いているところ

月読宮で四宮をお参りして御幸道路に出ると、車の音が急に戻ってきて、さっきまでの静けさが嘘みたい。あたしが「なんだか現実に引き戻された感じ」と言ったら、おじいちゃんは「その引き戻される感じも込みで、別宮めぐりなんだよ」って。

倭姫宮の参道に入ると、また音がすっと遠のきました。鳥居をくぐって少し歩いたところで、あたしが先に進みすぎて、おじいちゃんが後ろで立ち止まっているのに気づかなかったんです。振り返ったら、おじいちゃんは木の間から見える空を見上げていました。「月読宮で月の神さまにお参りして、ここを出る頃にちょうど月が出る。昔の人も、こうやって歩いたのかもしれんな」。

その日は本当に、倭姫宮を出る頃に東の空に月が上がっていました。あたしは写真を撮ろうとしてスマホを落としかけて、また笑われたんですけど。

まとめ

  • 月読宮と倭姫宮は、どちらも内宮の別宮で、御幸道路沿いに五十鈴川駅をはさんで並んでいる
  • 公式のアクセス案内は、五十鈴川駅から月読宮が徒歩10分、倭姫宮が徒歩7分。歩いて二社をつなげる
  • 四宮をお参りする月読宮を先に、倭姫宮で締めくくる順番がおすすめ(決まりではありません)
  • 倭姫宮は大正12年ご鎮座の「神宮で最も新しい別宮」
  • 10月は神嘗祭の月。別宮で祭儀の様子を見かけたら、通路をあけて見送る

訪問者の方には、内宮参拝の日に「月読宮だけ」で帰らずに、もう20分だけ歩いてみてほしいです。在住者の方には、神嘗祭の頃の夕方の散歩道として。月の神さまのお宮から歩き出して、月が出る頃に倭姫宮を出る。それがいまのあたしの、いちばん好きな秋の歩き方です。

それでは、また次の記事で。


参考

  • 神宮司庁「域外の別宮」(伊勢神宮公式サイト isejingu.or.jp)
  • 神宮司庁「祭典・催しカレンダー 2026年10月」(isejingu.or.jp)
  • 神宮司庁「神嘗祭」年間行事(isejingu.or.jp)

本記事の記載は2026年9月30日時点で確認できた情報にもとづきます。祭典の日時や交通の状況は変更されることがあるため、お出かけ前に公式情報と現地の掲示をご確認ください。徒歩の所要時間は筆者の体感による目安です。